「俺」と「煙草」は禁句と伝えていたが…

デビュー50周年企画の新曲「100GO!回の確信犯」は、若者に大人気のトラックメイカー・SASUKE君の作詞・作曲によるもの。僕の持ち歌16曲をサンプリングして、アップテンポな楽曲に仕上げてくれました。

SASUKE君はまだ18歳ですが、同時収録の「狐火」のほうは今年93歳になるバート・バカラックさんが昨年発表したバラードのカバー。川谷絵音さんが日本語の歌詞をつけてくれました。事前に「俺」と「煙草」は禁句だと伝えていたのですが、両方とも使われているんです(笑)。でもアリでした。

僕はプライベートでも「俺」と言ったことはないのですが、それだけに自分としてもワイルドな感じが新鮮だし、聴いてくださった方に「これまで見たことのない郷ひろみ」を感じ取っていただけたら嬉しいなと思います。

僕はいつだって、「郷ひろみならどうする?」と、客観的な視点で自分を見つめています。日常のなかで特に意識しているわけではないのですが、仕事のことを考えていると自然にそのスイッチが入るようです。

といってワンマンに物事を押し進めるのではなく、さまざまな分野のスペシャリストの意見に耳を傾けると決めています。なぜなら、僕が仕事をするうえでもっとも重要視しているのは、心の柔軟性だから。自分の価値観がすべてという頑なさを手放し、あらゆる偏見を捨てて、精神的に無重力状態でいることができれば、可能性が広がると思うのです。逆に言えば、僕は「親分肌」にはなれない。(笑)

時代に合ったアーティストでいるためには、時代の変化に敏感な人たちとタッグを組むことも大切と思っています。ただしそうした人を見抜くためには、まず自分自身が敏感でないといけない。だから、結局自分なんですよね。