現実にあっても、芝居だとやりすぎになる

高橋 芝居だけじゃなく、もちろん普段の生活でも観察してますよ。酔っ払いが電車の手すりにつかまってぐらんぐらん揺れてるのに、絶対に倒れないことってあるでしょう。手すりを離して、もう倒れる……とこっちが思っているのに、すんでのところで持ち直す、とか。でもこれを現場でやると、監督に「そんな人いないから」って言われちゃうんですよ。

八嶋 「やりすぎやりすぎ」って。

高橋 現実って、絶対笑っちゃいけないような時に限って、何かトラブルが起きますよね。実際、母方の祖父の葬儀で、ものすごく酔っ払ってて絶対しゃべっちゃいけないようなおじさんが、置いてあるマイクスタンドに、「えー、生前は……ゴンッ」って額をぶつけるんです。

清水 たけしさんみたいな。(笑)

高橋 娘である母は、きっと怒ってるんだろうと思ってちらっと見ると、ずっと肩が震えてる。笑ってるんですよ。こういうことは現実にあるんですが、芝居だとやりすぎになる。そういうギャップが埋まらない時ってありますね。

八嶋 ミチコさんはモノマネする時、面白いところをあえてデフォルメすると思いますが、さじ加減はどうしてるんですか。

清水 その人への愛情が入口ではあるんだけど、だんだんウケる快感が勝っていく時はある(笑)。デヴィ夫人も、はじめは「あたくしはね」くらいでやってたんだけど、今はもう「あぁたくしはねぇ」までに……。

高橋・八嶋 あははは!