イラスト:小林マキ
ステイホームによる運動不足や食生活の乱れで、血糖値が高めの人が増えているといいます。一時的であれば大きな問題はありませんが、慢性化すると糖尿病のリスクを高めることに。日常生活で気をつけるポイントをご紹介します(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/葛西由恵《インパクト》)

血液中に増えた糖が動脈硬化の原因に

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度を示す値で、食事をすると誰でも上昇するものです。

「食後に上昇した血糖値を安定させるために働くのが、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンですが、糖の摂取が多い生活を続けていると、やがては膵臓が疲弊してしまい、インスリンが分泌されなくなってしまいます」と説明するのは、玉谷クリニック院長の玉谷実智夫先生。

インスリンの分泌機能が低下し、血液中に慢性的にブドウ糖が増えてしまうのが、いわゆる糖尿病です。

「血液中のブドウ糖が過剰な状態が続くと、血管が硬くもろくなって動脈硬化が進みます。そうなると、毛細血管が詰まり必要な栄養素が全身に供給されづらくなるため、手足のしびれや筋萎縮などの神経障害が表れるのです。加えて、網膜にも栄養が行きわたらなくなった結果、目が見えにくくなることもあります」(玉谷先生。以下同)

こうした症状が出るまでに10~20年ほどかかりますが、糖尿病の怖いところは、症状が悪化するまでほとんど自覚症状がないこと。

「年に一度は必ず健康診断を受けて、自分の血糖値を把握しておきましょう。健康診断の結果を見るときには、『空腹時血糖値』ではなく、『HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)』の数値に着目すること。これは、過去1~2ヵ月間の平均的な血糖値を表しており、正常な数値は4.6~6.0の範囲内です。6.0以上になると糖尿病予備軍、6.5以上は糖尿病の可能性があります。あくまでも目安ですから、確実な診断には病院での血液検査が必要です」

なかには、HbA1cは正常なのに、食後に血糖値が異常に上がるという人もいるそう。発見しづらいことから「かくれ糖尿病」といわれています。

「体質的にインスリンの分泌量が少ない可能性が考えられます。家系的に糖尿病が多いという人は、病院で食後血糖値を調べておきましょう」

予防として、血糖値を急激に上げない生活を心がけることが大切です。

「まずは食生活の見直しが大事。血糖値を上げるのは、主に炭水化物に含まれる糖質ですから、今まで3食毎回ごはんを食べていた人は、1食分を抜くなど、無理のない範囲で糖質を減らすこと。運動も有効ですから、ぜひ習慣にしてください」