失敗に心がとらわれてしまっている人に対して

よどんだ雰囲気になっている人たちに

NG:こんな仕事のどこが面白いの? と心の声をそのまま言う
OK:こうすれば面白くなりそう と周囲の空気を意識して言う
『人間関係で「疲れない心」に変わる言いかえのコツ(著:植西聰/講談社)』

江戸時代、鍋島藩(なべしまはん。現在の佐賀県)の武士に、山本常朝(つねとも)という人物がいました。この山本常朝は、

「誰であれ、不幸せな人がいた時には、通り過ぎてしまうのではなく、その人のもとに立ち止まって、話を聞いてあげて、お見舞いを言って慰めてあげるのがいい」

と述べています。

そうやって、相手を選ばずに慰めの言葉をかけることで、まわりの人たちとの関係がみるみるよくなっていきます。すると、自分自身が落ち込んでいる時も、まわりの人たちからやさしく慰めてもらえる、ということなのです。

たとえば、仕事で失敗して、「上司にしかられた」と落ち込んでいる人がいたとしましょう。そういう人に対しては、

「いい勉強をしたね」と、プラスの言葉をかけます。

つまり、失敗から学んだ教訓を生かすことで、もっといい仕事ができて、ばんかいができる、ということに気づくきっかけをつくるのです。

発想を転換すれば、「失敗する」「しかられる」というマイナスの経験にも、「学べる」「次の成果につながる」というプラスの側面があると言って慰めるのです。

たとえ相手が親しい人であっても、「それはマズかったね」といった言い方はしないほうがいいでしょう。相手は、マイナスの面ばかりに気持ちが向いているので、気持ちをますます落ち込ませてしまうことになるからです。