相手の「ノー」を招きたくないときにどう言うか
商談を成立させたい顧客や取引先に
アメリカの心理学の調査に、次のようなものがあります。生命保険の外交員について行われた調査です。
まず、外交員たちの性格について調べました。「楽観的な性格の人」と「悲観的な性格の人」に分類したのです。それに基づいて、性格と、仕事の成果に、どのような関係があるかを調べました。
すると、同じように商品の説明をしても、「悲観的な性格の人に比べて、楽観的な性格の人のほうが、保険販売の成績がよかった」という結果が出たのです。
なぜそのような結果が出たかというと、その理由のひとつは、使う言葉にありました。楽観的な性格の人は、お客さんに対して楽観的な言葉を多く使う傾向があるのです。
「保険に入っていれば、安心です」
「今の生活を楽しめます」
「こちらの保険がお得だと思います」
というようにです。
このように楽観的な言葉で説明されるほうが、保険に対する印象がよくなります。「入っておこうか」と、その気になる可能性も高まるのです。
一方、悲観的な性格の人は、お客さんに対して、悲観的な言葉を使いがちです。
「保険に入らないと、損ですよ」
「生活を心から楽しめますか?」
「入らないと不安ですよね」
といったようにです。
セールスしようとしているのですが、使う言葉がネガティブになってしまうのです。これでは、お客さんもなんとなく気持ちが沈んで、契約にもつながりにくいでしょう。
人を説得したい時には、楽観的な言葉をできるだけ多くしたいものです。
※本稿は、『人間関係で「疲れない心」に代わる言いかえのコツ』(講談社)の一部を再編集したものです。
『人間関係で「疲れない心」に変わる言いかえのコツ』(著:植西聰/講談社)
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