早めの対処、治療が大切
アレルギーや感染症を招くバリア機能障害にご用心

さらなる問題は、かゆみに過敏になってしまうことです。

「バリア機能が低下すると、防御反応としてかゆみを感じる神経線維が皮膚の表面近くまで伸びてきます。すると、わずかな刺激にも反応する“かゆみ過敏”になり、自分の汗や、使い慣れた化粧品でもかゆみを感じるようになってしまうのです」

皮膚を掻くと角層はますます破壊され、乾燥が進むという悪循環に。

「重症化すると、バリアが機能不全となるバリア機能障害に陥ります。すると、異物や細菌・ウイルスなど病原体が侵入しやすくなり、かぶれや伝染性膿痂疹(とびひ)などのリスクが高まるのです。さらに近年の研究で、皮膚から侵入したアレルゲン(アレルギーの原因物質)がアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを引き起こしたり、免疫バランスの異常をもたらしたりすることがわかってきました。免疫バランスの異常はがんや感染症のリスクにもつながります」

肌のバリア機能を回復させるには、日常生活でのケアが大切です。次のページから紹介する対処方法で、あせもや汗かぶれを予防しましょう。

「保湿などのスキンケアをしても症状が改善せず、特に肌がジクジクしている状態は、すでにトラブルが重症化している可能性があります。この場合、セルフケアによる完治は難しいので、皮膚科で適切な治療を受けましょう」