『婦人公論』12月14日号の表紙に登場した木村多江さん

窓からの景色に小さな喜びを見出して

なによりの転機となったのが、30代半ばで子どもを産んだことです。妊娠中、体調を崩し、半年以上入院生活を送ることに。ほとんど動けなかったので、見えるのは窓からの景色だけでした。でも、そのなかで「毎日、空の色は違うんだ」と、小さな喜びを見出せたのです。

私にとってなにより大事なのは、お腹の子どもが無事に生まれること。「あぁ、今日も生きていてくれた」「新しい朝が来た」と思うだけで、感謝の気持ちが湧きました。

去年のステイホーム中も、散歩していてお花を見つけると「素敵」と思うし、「今日は空気がきれい」「木漏れ日が美しい」「風の音がいいなぁ」といった小さなことで、ほっこりした気分に。夫にちょっぴりイラッとしても、すぐリセットできました。(笑)

精神的に安定してきたら体調もよくなり、30代前半より今のほうがずっと元気です。とはいえ、やはり睡眠不足は大敵。若い頃は2時間くらいしか寝ていなくても平気でしたが、今は睡眠を第一にするよう心がけています。

一見華やかに見える役者の仕事ですが、必要なのは「気力」と「体力」です。体力を維持するために、筋肉量を増やすことも大事。長年続けている日本舞踊の発表会で「春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)」を踊った時は、8キロもある錘(おもり)をつけてトレーニングしました。来年3月には、「藤娘」を踊る予定です。コロナの影響で筋トレがおろそかになっていたので、今からがんばらないと!

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