奇跡みたいなことが起きて

鶴瓶 「家族に」なんだから、人に会わなあかんやんか。でもこの人は、人に会わんと、神社の歴史みたいな立札を読んでまうねん。俺が誰かとしゃべってると、いつのまにか消えてまう。(笑)

さだ それはね、人を扱わせたら鶴瓶ちゃんが日本一だから。でもせっかくなら、その町の奥行きも視聴者にお知らせしたい。お寺とか歴史とか、こんなおいしい食べ物もあるんですよっていうのは僕が担当しようと。

清水 いつもプロデューサー目線ですよね。バランスを考えてる。

鶴瓶 第一回のときは奇跡みたいなことが起きて、感動したな。

さだ 岐阜県に、いまは揖斐川(いびがわ)町に入ってますけど、谷汲(たにぐみ)村という村がありまして、頼まれて村の歌をつくったことがあるんです。行きもせずにつくったのに、まるで行ったかのような歌になっちゃって、感激した村長がゴルフに誘ってくれた。実際に訪れたら本当にいい村で、第一回の行き先を谷汲村にしたんですよ。

鶴瓶 でもさだまさしの歌う村の歌を、村人が「聴いたことがない」って言う。それはおかしいやんかと思って。

さだ 鶴瓶ちゃんが「さだまさしに歌わせる」って言って、楽器だとかスピーカーだとかを調達してくれまして。ところが、今度は照明がないってことになった。

鶴瓶 そこにたまたまトラックが通ったんや。トンネルを掘るためにでかい照明を積んでる。追いかけて、「すんまへん、ちょっと貸して」言うて。よう貸してくれたな。

さだ で、小学校の校庭にトラックを持ち込んで、僕ははじめて、谷汲村の歌を村人の前で歌ったの。

清水 それは村の人だけじゃなく、お2人も感動したでしょうね。

<後編へつづく


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