マスク生活や人との接触が減ったことで、ついおろそかになりがちな口腔ケア。口内環境が悪化すると、全身の病気を招く危険があるのだとか。この機会に、これまでのお手入れを見直しましょう(構成=吉川明子 イラスト=若林 夏)

削る治療の繰り返しで歯を失うことに

人生100年時代といわれる現代ですが、寝たきりや認知症とは無縁の元気な状態を保ちたいもの。そのためには口腔ケアが大きな鍵といえます。

厚生労働省のデータによると、75歳以上の高齢者は、平均16本しか歯が残っていないのだとか。日本人は40代くらいからむし歯や歯周病などが原因で歯を失い始めるといわれます。永久歯は本来28~32本ありますが、75歳以上になると、約半分に減ってしまうのです。

1960年当時の日本人の平均寿命は男性65.3歳、女性70.19歳でしたので、もし60歳で歯を失っても、昔はそれほど深刻ではなかったかもしれません。でも、男女ともに平均寿命が80歳を超えた今は、歯が減って食事もままならない状態で長く過ごさなければならなくなります。

大人が歯を失う二大原因は、むし歯と歯周病です。みなさんはむし歯になったら歯科医院に行き、むし歯の部分を削って、そこに金属などを詰めているでしょう。でも、だいたいはそのむし歯が再発し、もっと大きく削って埋め直すことに。これを4~5回も繰り返すと歯が小さくもろくなって、抜かざるをえなくなります。

もうひとつの歯周病ですが、これは細菌の感染によって歯の周りの歯ぐきの炎症が骨にまで及んで骨が溶け、最終的には歯が抜けてしまう病気です。これだけでも怖いのですが、この歯周病菌が歯ぐきから血管内に入り、血液を介して全身に回ることでさまざまな全身疾患に影響を及ぼすことが明らかになってきています。

その代表格が動脈硬化で、進行すると高血圧、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすことに。ほかに糖尿病、肝疾患、アルツハイマー型認知症、関節リウマチも、歯周病菌と関連があるといわれています。特に糖尿病においては、歯周病があると糖尿病が悪化しやすく、糖尿病があると歯周病が悪化しやすいという、両疾患の相互関係が明らかになっており、医科と歯科の連携治療が必須となっています。口内環境を整えることがいかに大切かおわかりいただけたでしょう。

みなさんはむし歯や歯周病などの自覚症状がある時に歯科医院を訪れることがほとんどではないでしょうか。数回通えばその部分のむし歯治療は終わりますが、根本的な原因は取り除かれていません。

口腔トラブルを招く原因は大きく3つあり、(1)歯によくない食生活、(2)バイオフィルム(3)口呼吸と唾液の減少です。これらを改善してはじめて根本的な解決が見えてくるのです。まずはあなたの口の中がどのような状態か、次ページのセルフチェックで確認することから始めましょう。