舌苔にコロナウイルスを活性化させる物質が

舌で歯をなぞると、ヌルヌルした物質がついていることがありませんか。これは歯の表面に細菌が層状に付着したもので、「バイオフィルム」と呼んでいます。歯磨きなどの自宅ケアだけで取り切るのは難しく、たまってくると歯石になります。歯石は放置すると細菌のたまり場になるため、超音波の機械で取るのですが、たくさんつくと歯を傷つける原因にもなるので、歯石になる前にできるだけ取り除いておきましょう。3ヵ月に1回の頻度で、歯科でメンテナンスするのが理想です。

もちろん、自宅でのセルフケアも重要で、歯磨きが基本。歯ブラシはナイロン製で弾力のあるものを選び、さわってみて弾力がなくなったらすぐに取り換えましょう。歯ブラシを鉛筆のように持ち、歯と歯ぐきの境目に斜め45度に当ててゆっくりと動かし、ブラシの弾力でやさしく磨きます。デンタルフロスと歯間ブラシによるお手入れも忘れずに。フロスは歯ブラシでは入らない、歯と歯の間の汚れを取るもので、むし歯予防になります。歯間ブラシは、歯の根元など隙間が広い部分にたまる汚れのかたまりを取るものです。こちらは歯周病予防にもなります。

歯間ブラシは歯科医院で相談して正しいサイズを選んでください。安価なものは軸の針金がむき出しになり、歯や歯ぐきを傷つけることがあるので、軸がコーティングされているものを選んで。毛がねてきたら早めに交換しましょう。

歯磨きの時にぜひ加えてほしいのが「舌磨き」です。舌には「舌苔(ぜったい)」というコケのようなものがついています。舌苔は細菌を増殖させ、口臭や歯周病の原因になります。最新の研究では、新型コロナウイルスを活性化させ、細胞に侵入させやすくする物質が舌苔に存在していることがわかってきました。舌専用でなくても、歯ブラシでいいので、夜寝る前に、舌苔がついているところを奥から手前に向かってやさしくなでるように動かしてください。

むし歯や歯周病予防のために、自分でできることはまだあります。それはストレス対策と睡眠です。ストレスが深刻になると、自然治癒力の低下や唾液の分泌量減少、強く噛みしめることによる歯やあごへの負担増加などにより、歯周病が悪化する例がたくさんあります。また、睡眠中には体の傷ついた部分の修復が行われるため、十分な睡眠時間の確保も大切です。