アイダ君から聞いた『ハローパーティー』
3つ目は、学校でキャンプに行ったとき。タイトルは忘れてしまいましたが、円陣の中を“象さん”役が歌いながら歩き、一人ずつ仲間に加えて行く“お遊び”で、誘われた者は右手を象の鼻に見立てて列を作って歌い歩くというルールです。あるとき、その先生が自ら“象さん”に名乗りを挙げ、肥満児や小太りの子どもたちを次々列に入れたのです。当然、私はそこに選ばれ、最後、「私たち、××(学校名)象さん組です」と言わされました。
今の時代なら、ちょっとした“問題”になりそうなことばかり。そのとき私は「悲しい」とか「恥ずかしい」ではなく、先生を嫌悪する気持ちと、「おとなしい自分は、損をしている」という想いを強くしたのでした。
小学4年生になったある日のこと。席替えで隣になったアイダ君が、「ねぇ、土居まさる、知ってる?」「『ハローパーティー』、聴いてる? 『セイ!ヤング』は?」と私に尋ねてきたのです。
どの固有名詞も初耳で、返答に困っている私にアイダ君は「知~ら~ないの~~~?」と大袈裟に驚き、事細かに教えてくれたのです。
ちなみにアイダ君は、クラスでは大人びたダジャレを言ったり、「ヌード」という覚えたての言葉を度々発したりして、度々男子の笑いをとっていました。小学校時代に人気の男子は圧倒的に脚の速い子であり、運動会の人気者がそのままクラスでも人気者になるものです。
アイダ君は早生まれなのに体が大きく、実は脚も早くて、喋りも立つということで、男子にも女子にも一目を置かれていたのです。