「塊になった欲を剝がして、大事なものが何かをもう一度探すのが、きっと50代、60代なんだろうな」と語るデビット伊東さん(右)と妻の能子さん
お笑いトリオ「B21スペシャル」で一世を風靡し、現在はラーメン実業家としても活動するデビット伊東さん。コロナが猛威を振るう2020年、店の大半を畳み、妻の能子さんとともに神奈川県の小さな港町・真鶴への移住することを決断しました。町の人々と交流するうち、お二人は「真鶴を元気にしたい」という思いを抱くようになったそうです。(構成=平林理恵 撮影=本社写真部)

デビット伊東×能子「経営するラーメン店をコロナが直撃。店を手放し、貯金0で真鶴に移住したわけ」〈前編〉よりつづく

町の人の力を借りてラーメン店をオープン

デビット それで、助けてくれた町のみなさんへの恩返しの気持ちも込めて、二人で真鶴にラーメン店を出すことに決めたんだよね。この町は人口7000人弱。ビジネスとしての成功を求めるなら、ここは出店しちゃいけない場所だけど、夫婦で働けばトントン。それに、二人でどうやって歩んでいくかが最重要テーマだったから。

能子 店は、海の見える高台にある元そば店の居抜き物件がすぐに見つかって。

デビット リフォームには500万円くらいかかったかな。それでなんとか20年の12月に、お店のお披露目会を開催することができました。ところが21年1月に緊急事態宣言が発出されて、世の中がまた止まっちゃった。さあどうしよう、と。引っ越しができなければオープンできないし、まだ住む家も決まっていなかった。

能子 そうしたら、町の不動産屋さんや銀行、町の人たちが、私たちが住めそうな物件の情報をかき集めてくれて。その中に住みたいと思える築24年の家があって、そこに決めたんだよね。しかも町のみなさんが「手伝いに行きますよ」と、横浜まで2往復も車を走らせてくれて。世の中が止まっているというのに、2月には引っ越しが完了しました。