子どもたちも田舎の生活を気に入って

もちろん東京にいても畑はできるけれど、郊外に畑を借りて車で1時間くらいかけて行くとか、管理者がいて収穫をするだけといったやり方には、あまり興味が持てなかったんです。

俳優としても、ひとつの世界に引きこもっているだけではダメだろうな、という思いがありました。もっと違う経験をして、常に新鮮な自分でいないと、いつか何かが枯渇してしまうのではないかという危機感があった。

だから、この期間は東京に出て俳優として仕事をしているけれど、ほかの季節は別の場所で別の仕事をする。そんなライフスタイルを選択してもいいんじゃないかなと思ったんです。僕の気持ちを妻にも伝え、よく話し合ったうえで、1年の約半分は東京で、残りの期間は田舎で暮らすという今の生活を始めました。

3人の子どもたちも、田舎での生活を気に入ったみたいです。虫捕りをしたり、カナヘビの卵を孵化させたり――学校の友だちと一緒に、自然のなかでの遊びを楽しんでいます。そういった経験をするのは、東京では難しいんじゃないかな。

一方、東京でしかできないこともあります。歌舞伎や相撲を観に行くとか。その場所ならではのことを自分たちで見つける暮らしを楽しんでいます。