少女時代から演じた理由は
かくして私は、セリーヌ・ディオンの人生をもとにした映画『ヴォイス・オブ・ラブ』の脚本を書き、監督し、彼女の5歳から今に至るまでを一人で演じたのです。過去に私が監督を務めた5作品は、いずれもどこか風刺的で皮肉っぽいところがありましたが、この作品においてはセリーヌにまっすぐに向き合っています。
唯一無二の存在であるセリーヌに敬意を表し、劇中の主人公はアリーヌ、夫はギィ=クロードというフィクションの人物にしていますが、彼女に関するありとあらゆる資料に目を通して、その人生に寄り添いました。
子役を使わず5歳から演じているということに、日本のみなさんは驚かれるかもしれませんね(笑)。私は、30年続けている一人芝居で、毎回必ず少女を演じているんです。3歳のこともあれば8歳のこともありますが、演じているのは、私自身がそうではなかった少女。舞台では何歳にでもなれるし、なりたかった自分にもなれる、そこにワクワクするんです。
そんなに大きなあなたがどうやって? と思うかしら(笑)。映画の撮影では2つの手法を使いました。1つは、単純に私はそのままのサイズで、まわりのものを大きくするというアナログなやり方です。教室のシーンでは、大きな教室に大きなイスや机を並べて、私が小さく見えるようにしました。
もう1つはその反対。特殊効果チームの力を借りました。たとえば、私が見上げている姿をまず撮り、CGを使って小さくして、相手役を大きくする。こうすれば子どもが大人を見上げている図になります。