2022年1月9日、東京の両国国技館で大相撲初場所が開幕しました。横綱・照ノ富士は「103年ぶりの新横綱からの3連覇」を達成できるのか? 大関・貴景勝は残念ながら4日目からケガで休場。全勝で折り返した関脇・御嶽海がこのまま勝ち続け、幕内3回目の優勝杯を手にすることはできるのか?『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります

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御嶽海の責任は重い

大相撲初場所は、中日8日目を終え、これまで期待する多くのファンを裏切ってきた関脇・御嶽海が、「集中力抜群の力士」に変身して勝ち越した。御嶽海を7勝1敗の横綱・照ノ富士が追うという、予想外の展開となっている。

「優勝は照ノ富士か御嶽海か」という感じだが、後半戦に御嶽海が悪い方に変身したら、長年期待し続けたファンは、コロナ禍なので自宅でやけ酒を飲んだり、やけ食いをすることだろう。御嶽海の責任は重い。

新横綱からの3連覇を狙う照ノ富士は、5日目まで相手に相撲を取らせてから勝つ「横綱相撲」を取っていたが、6日目に幕内最年長37歳の前頭3枚目・玉鷲に負けた。玉鷲は、立ち合いからの突き押しで土俵際まで照ノ富士を追いつめ、照ノ富士がバランスを崩したところを突き落とした。

私のような高齢者は、力士としては高齢者の玉鷲が勝つと元気づけられるが、苦労してきた照ノ富士も応援しているので複雑な気持ちだ。照ノ富士の連勝は、23勝でストップした。しかし、照ノ富士は負けを引きずらずに勝っている。

中日までで感動したのは、前頭2枚目・宇良だ。2日目に宇良は大関・正代に押されて土俵下に落ち、頭を打ってフラフラのまま土俵に戻り、呼び出しに支えられながら花道を去る時、振り返り土俵に一礼した。勝負が終ってからどの力士も土俵に向かってお辞儀をするが、脳しんとうのような状態でのお辞儀に、観客は拍手を送っていた。宇良は4勝4敗だが、どんな体勢でも勝機を掴もうとする相撲から、相撲を取る喜びが伝わってくる。

前頭6枚目・阿炎も前半戦を勢いの良い突っ張りで盛り上げ6勝2敗だ。後半も頑張ってほしい。

注目の新入幕で大鵬の孫である前頭18枚目・王鵬は5勝3敗。自分の型で相撲を取ろうとする意欲が取組から見えて、将来が楽しみだ。