北勝富士のポーズをまねてみた

残念なのが大関・貴景勝の4日目からの休場。3日目の宇良戦の取り直し前の一番で右足を捻挫した。「優勝したい」という意欲があったのに、本人も凄く悔しいことだろう。

意欲といえば大関・正代。8日目は前頭3枚目・遠藤に勝ち連敗を3で止めたが4勝4敗。
7日目の前頭4枚目・隠岐の海との対戦で、実況の藤井康生アナウンサーが、「あ~、もう、正代はどうなってしまったのでしょうか」と言うほど、相撲を忘れたかのような負け方だった。

7日目までの正代を見て、前頭4枚目・北勝富士のポーズをしたらどうかと思った。北勝富士は、最後の仕切りの前に塩を取りに行き、額やこめかみに拳をつける。私はこのポーズを「零細企業の社長が資金繰りに困った時のポーズ」と名付けていた。私の亡き父は、借金の返済に追われた時、このポーズをよくしていた。父の友人の零細企業の社長もこのポーズをしながら、月末に家によく来た。

昨年の暮れ、なんとなく北勝富士のポーズをまねてみた。驚くことに「冷静になれる」ことを知った。スーパーのレジで、自分は一品しか買っていないのに、前の人がカゴにあふれるほどの大量の買い物をして待たされる時、私は北勝富士のポーズで血圧が上がらないように耐えている。しかし、その北勝富士は3勝5敗なので、正代には役立たないかも…。

ところで、相撲放送大ベテランの藤井康生アナウンサーは、「木村玉治郎、柿渋色の装束に金のあげは蝶」とか「紺青の装束」とか行司の装束の色を言うので、日本の色を知りたい私は嬉しい。一昨年のことだが、藤井アナウンサーが相撲放送中に、相撲川柳の話をしたのがきっかけで、私は相撲川柳を作っている。

「待ったなし 行司の声に 待ったする」「できるなら 時間よ戻れ 負け力士」「鬢付けの 香り漂う 総武線」とかお粗末ではあるが…。

大相撲を日ごろの生活に活かすことを考えている私だが、テレビ観戦から教養も身につけられてありがたい。

亡き母は「夫婦喧嘩で一番大変なのは借金などの金銭問題だ」と言っていた。 両親の壮絶な夫婦喧嘩を「待った、待った」と、しろぼしが止めるのに使っていた国技館で買った軍配。 敷いているのは、相撲のふろしき(写真提供◎しろぼしさん)

 

※「しろぼしマーサ」誕生のきっかけとなった読者体験手記「初代若乃花に魅せられ相撲ファン歴60年。来世こそ男に生まれ変わって大横綱になりたい」はこちら

 

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