憧れの先輩、タカギさん

再びラジオを目指すことになった“きっかけ”は、近しい先輩の何人かがアナウンサーになったからでした。

特に影響を受けたのは、まさにTBSラジオのキャスタードライバーをしていたタカギさんでした。大学時代の部活(ゴルフサークル)の2学年上の先輩で、彼女は卒業前からキャスタードライバーをしていたのです。

そんなタカギさんが赤い制服でラジオカーを運転し、TBSラジオへと戻ってくる様子を、当時、TBSに併設されていたゴルフ練習場からいつも見ていた私。安く貸してもらえるからサークルのメンバーと早朝からそこに居た私と、早朝番組の中継を終えて戻てってくるタカギさんは本当に何度も遭遇したものです。

部内では、ハッキリした物言いと運転のうまさに定評があったタカギさん。ゴルフサークルの学生はキャディバッグを積んだクルマを自分で運転し、練習場や河川敷のゴルフ場へ。またプロのトーナメント時、お手伝いをするためバイトとして雇われたので、遠方のゴルフ場にも度々、自分のクルマで行っていました。

少々話はズレますが、だから私はずっと“運転席の女”であり、“助手席の女”になった経験が全くと言っていいほどありません。男性と交際していてもクルマを出すのは私であり、往復の運転も私。それは男性には、けっこう新鮮なことだったらしく、それが理由で少しモテたこともありました。長年、履歴書の“資格”の項に「普通自動車第一種免許」しか書けなかった私ですが、やがて運転は“特技”になっていったのです。

とはいえ、当時、「キャスタードライバー」は第一希望ではありませんでした。小学校時代、ラジオやDJに対し、マニアックな愛情をもっていた頃を思い出すと、『セイ!ヤング』では、土居まさるさんも、みのもんたさんも、落合恵子さんも、皆さん、文化放送のアナウンサー。ニッポン放送の『オールナイトニッポン』でも今仁哲夫さんや斉藤安弘さんはアナウンサー、TBSラジオでも、後に『パックインミュージック』を担当していらした林美雄さんや小島一慶さんも同様だったのです。