『焼きたらこのおすし』(撮影:竹浦康郎)
リニューアル1号目となる『婦人公論』(2月号)の料理連載「お料理歳時記」では、「冬の台所ずし」を特集! 残りもののおかずや常備品で作る普段のおすし。基本的な組み合わせを覚えれば、あっという間に完成します。「食感豊かに、具材はたっぷり」のコツを松田美智子さんに習います(撮影=竹浦康郎 料理・スタイリング=松田美智子 構成=北村美香)

家にあるもので気軽におすしを楽しみましょう

おすしといえば、ハレの日のちらしずしや握りずしを思い出す方も多いでしょう。

以前に大阪で「台所ずし」という言葉を耳にして、「よい言葉だな」と思いました。残りものや常備品で、思い立ったらぱぱっと作るおすし――。幼いころ、母がよくこしらえてくれました。

メインの食材を決めたら、食感の楽しい具材を組み合わせましょう。

たとえば、ひじきの煮物や焼きたらこ、お漬けもの、かまぼこなどがメインなら、きゅうりや胡麻で食感をプラスします。残りもののひじきの煮物はすし飯に混ぜるだけ、お漬けものやかまぼこは切るだけです。春は木の芽、夏はみょうが、冬は三つ葉などの薬味があれば、ぐっと華やかになりますね。

家族でさっといただくものですから、2~3人の家族ならお米カップ分のすし飯で。ただし、すし飯だけは丁寧に作りましょう。ご飯にすし酢を合わせるコツを、参考にしてみてください。

具材がたっぷりなので、あとはおつゆを用意すれば充分です。すし飯と具材を半日ほど馴染ませればさらにおいしくなります。薬味は食べる直前に。お酢の代わりに、かぼすや柚子の搾り汁を使ってもいいでしょう。

節分の季節に古くから飾られてきた「ひいらぎ鰯」。松田さんは、ひいらぎの枝に目刺しを1匹差し、赤唐辛子とともに白い和紙でくるみ、白の水引で巻いて飾ります。節分の豆にもひいらぎを添えて(右、今回のレシピを教えてくれる松田美智子さん)