山や谷があるから次の道が見えてくる

中園 占いの師匠によれば、強運な人は運気の起伏がダイナミックだそうです。好調時は誰も追いつけないほど上り詰めるけど、落ちる時はどん底まで突き落とされる。でも、「それもまた面白い」と受け止められる感性を持っているということです。

三田 自然の流れに逆らわないってことじゃないでしょうか。山あり谷あり、いろんなことがあるからこそ次の道が見えてくる。今より平坦な人生だったら、私はもっとぼんやりした人間になっていたと思うんですよ。

もちろん苦しくてつらくて、「このまま死んでしまうかも」と思い詰めた時期もあります。でも実際は死んだりもせず、気づいたら「はい、次!」って歩きだせてしまうのが不思議ね。

中園 私の学んだ占いでは、いちばんつらい時期は12年周期のうち2年間だけと考えています。その人がいちばん苦手なことを頑張らなければいけなくなる時期で、いわば天から与えられた宿題をこなす期間です。四柱推命ではこの2年を「空亡(くうぼう)」と言って、与えられた宿題に取り組むことで成長し、運気も上がっていくと言われているんです。

三田 逃げないことが大事ですね。どんなにつらくても、やりたくないからと逃げてはダメ。私の場合は特に、家族に関わることは自分の責任と思って引き受けてきました。

中園 私はもともと怠け者の星なのですが、空亡に入ると必ず猛烈に忙しくなるんです。たとえば朝ドラの『花子とアン』を引き受けた時がそうで、毎日、朝起きたら続きを書かなければいけないのが本当につらくて、何度も逃げ出したくなりました。

でも「今回の私の宿題はこれなんだ」と腹をくくって踏ん張ったことで、明らかに人間として強くなったと感じます。次の空亡が3年後に控えているのですが、そういう時期だと知っているので怖くないですね。

三田 中園さんは占いの知識があったから、冷静にご自分の状況を判断できたのでしょう。ふつうの人は、嵐の真っただ中に放り込まれたら計算なんてできない。雨風が去って、ほっとできた時に「ああ、こういうことだったんだな」とわかることもいっぱいあると思います。

三田佳子×中園ミホ「34歳で未婚の母に。三日三晩悩んだ末、産むと決めて食べたご飯は美味しかった。大きな決断は『心地いい』ほうを選んで」〈後編〉につづく