「自分でも、『大丈夫かしら』って思うくらい没入しちゃうの。中途半端がいちばん嫌で」(三田さん)

おばあさんの役作りも徹底して

三田 すごく感覚的だと思います。役柄や見た目から、計算をして動いているように思われますけど、パパッと直感で行動するほうです。

中園 巫女的な要素があるから、役が憑依したような迫真の演技ができるのでしょうね。

三田 自分でも、「大丈夫かしら」って思うくらい没入しちゃうの。中途半端がいちばん嫌で。

中園 最近、おばあさん役で出演なさっていたドラマでの徹底的な役作りが話題になりましたよね。

三田 そういう役の依頼が増え始めたころに「またおばあさん役なのよ」と息子に愚痴ったら、「しょうがないじゃない、おばあさんなんだから」と言われて、あ、そうかと(笑)。それですっかり割り切って、頭頂部が薄くなったカツラを作ってもらったり、背中を丸めてがに股で歩いたり。監督さんが「そこまでしなくてもいいです」と心配するくらい徹底してやっています。

中園 私が書いた脚本のセリフを一字一句変えずに、しかもご自分のものにしていることに感動しました。つまり、〈受け止める〉力が強いのですよね。感性が豊かだから、どんな役もセリフも許容して、見事に演じられる。

三田 女優として、歴史上の人物から市井の人までいろんな人生を経験してきました。それが私の支えというか、心の学びになっているのかもしれません。