休みをとる勇気

30歳で独立してから休みなく働き続けていた私は、39歳のときに、勇気を出して4日間の休みを取ることを断腸の思いで決めました。

『1ミリの優しさ―IKKOの前を向いて生きる言葉』(著:IKKO/大和書房)

なぜなら経営者が休むということは、その間の売上が立たなくなり、多くの弟子を抱えている私にとっては財政難になることを意味するほど重要な決断だったから。

私がいきたいと思ったのは幼少期の「夏休みのラジオ体操」の空気感が残っていた所。以前、仕事で訪れたときに、そんな空気感を放っていたのが「セブ島」でした。

セブ島が教えてくれたことは、人間に痛めつけられていないジャングルは、涙が出るほど私に優しく、でこぼこ道にある木々は自然のままで心に馴染(なじ)んだということ。

一方で、「舗装」されて痛めつけられた木々は逆に私には優しくなかったということです。

目に映る景色が私の心を少しずつ、責任のなかったあの夏休みのラジオ体操の頃へと、タイムスリップさせてくれました。

人は責任を問われると、責任のなかった頃に戻りたくなるのではないでしょうか。

私の心が穏やかに穏やかに、変わっていった4日間は、人生の中で、大切な大切な休息となりました。