牧野富太郎博士と妻の壽衛(すえ)さん(『婦人公論』昭和14年8月号より)

本日2月2日、2023年前期の連続テレビ小説(通称:朝ドラ)のテーマと主演が発表された。タイトルは『らんまん』。主役を演じるのは人気俳優・神木隆之介さんだ。男性の主人公は窪田正孝さんが主演した『エール』以来、3年ぶりとなる。

主役のモデルは日本の植物学の父と言われる牧野富太郎(1862−1957)。てがみ座主宰・劇作家の長田育恵さんが手がけるオリジナルストーリーで、原作はない。「(牧野氏の生涯をモデルにしながらも)激動の時代の渦中で、ただひたすらに愛する草花と向き合い続けた、ある植物学者の波乱万丈の物語として大胆に再構成」(NHK)するそうだ。

 

植物学者・牧野富太郎とは?

ドラマのモデルとなった植物学者・牧野富太郎とは何者か? 

1862(文久2)年、高知県に生まれた牧野は、幼少から植物に興味を持ち1884年、2度目の上京時に東京大学理学部植物学教室に出入りするようになる。「植物学雑誌」の創刊に携わり、1889年、大久保三郎と日本で初めて新種ヤマトグサに学名を付けた。新種や新品種など約1500種類以上の植物を命名、日本植物分類学の基礎を築く。現在でも研究者や愛好家に好まれる「牧野日本植物図鑑」を刊行した。1957年死去。(参考:高知県立牧野植物園の公式サイト https://www.makino.or.jp/dr_makino/) 

NHKのサイトでも「ただひたすら愛する草花と向き合い、明るいまなざしで生命の多様性を肯定し続けた牧野富太郎の生涯」とあり、植物に並並ならぬ愛情を注いだ人物だ。

その愛ある眼差しは、『婦人公論』1936(昭和11)年8月号の「家庭自然科学知識特集」でも見て取れる。「何故花は匂うか」とのお題に対して、牧野はどう回答したのか。実際の文章を見てみよう。