女王ネズミのフェロモンで排卵も止まる

省エネ体質に加えて、もう一つの長寿の原因となる特徴は、ハダカデバネズミは哺乳類では珍しく「真社会性」をとる生き物であることです。真社会性とは、ミツバチやアリなどの昆虫で見られる女王を中心とした分業制です。

ハダカデバネズミは100匹程度の集団で暮らしていますが、その中で1匹の女王ネズミのみが子供を産みます。ちょうどミツバチの女王バチのようです。

ミツバチの場合、働きバチは全てメスで、それらは生まれながら子供を産めません。一方ハダカデバネズミの女王以外のメスは、女王ネズミの発するフェロモンによって排卵が止まり、子供が一時的に産めなくなっています。

女王ネズミが死んでいなくなるとフェロモンの影響も受けないため、排卵が復活した別のメスが女王になり、子供を産み始めます。女王以外の個体は、それぞれ仕事を分業しています。例えば、護衛係、食料調達係、子育て係、布団係などなど、です。

布団係はゴロゴロして子供のネズミを温め体温の低下を防ぎます。寝るのが好きな個体には、人気の職種かもしれません。