くしゃみ・鼻水には、抗ヒスタミン薬が有効

そもそもどうして、花粉によって、くしゃみや鼻水といった症状が起こるのでしょうか?

「アレルギーを持つ人の体の中には、特定のアレルゲンに対してその異物を排除しようと働くIgE抗体があります。花粉が入ってくると、そのIgE抗体が存在する粘膜の細胞からヒスタミンという化学物質が分泌され、神経を刺激することで、くしゃみ・鼻水などの症状を引き起こすのです。治療には抗ヒスタミン薬が用いられ、ヒスタミンが神経に作用する部分をブロックすることで、症状を出にくくします」

前もって服用することで、症状が出るのを遅らせ、最盛期の症状を軽くすることができるそう。これまでは内服薬が一般的でしたが、近年は貼り薬も登場しています。

「胸や腕などに貼ります。内服薬と違って消化吸収の影響を受けないため、安定して薬効が持続するという利点があるのです」

また、鼻づまりは、くしゃみや鼻水とは異なり、鼻粘膜の細胞から分泌されるロイコトリエンという化学物質によって血管が広がることで起こると岡野先生。鼻づまりは、抗ロイコトリエン薬などで症状を緩和します。

そのほかにも、目や皮膚のかゆみ、熱っぽいといった症状が出ることも。症状の出方や重症度に応じて、耳鼻科などで自分に合った薬を処方してもらうと安心です。

さらに岡野先生は、簡単にできる花粉対策として、ワセリンを鼻の穴の入り口に塗る鼻バリアが効果的と勧めます。

「花粉によるアレルギー症状は、花粉の外側についているアレルギー物質と、鼻の粘膜の水分にふれて花粉が割れることで内部から出てくる別のアレルギー物質によって起こるのです。ベタベタ状のワセリンが花粉をキャッチするとともに、花粉が割れるのを防ぐ効果もあり、花粉の攻撃力をダブルで弱めてくれます」

外出時は、この鼻バリアとマスクの合わせ技を習慣にしたいもの。こうして花粉をなるべく体内に取り込まないようにすれば、花粉症になっていない人が新たに発症しないためにも有効です。

次回からは、花粉症の症状を悪化させない生活習慣について詳しく紹介します。