イラスト:小林マキ
心身の虚弱を意味する「フレイル」。ステイホームの影響で、外出や運動の機会が減り急増しているようです。おうち時間は、まだしばらく続きそう。自宅でできる対策を専門家に教えてもらいました(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》)

年のせいと放置すると
要介護状態を早める恐れも

「しっかりと栄養を摂り、体を動かして筋力を維持し、人や社会とつながることで、私たちは心身ともに健康でいられます。しかし、ステイホームを続けるうちに精神的な張りがなくなり、うつ状態となって活動量も低下。それに伴い、食欲が減退したり、筋力が衰えたりする人が少なくありません。これを専門家の間では《コロナフレイル》と呼び警戒しています」と話すのは、宇都宮大学地域デザイン科学部客員教授の西山緑先生です。

フレイル(虚弱)というと、高齢者の問題と思うかもしれません。実際、フレイルか否かを診断する機能評価の対象年齢は、65歳以上。

しかし、西山先生は「65歳になって急にフレイルになるわけではない」と強調します。

「下肢の筋肉量や握力の低下が顕著に表れるのは50代からです。また、女性は更年期をきっかけに気力が衰え、その後、体力の低下が重なることで、60代で一気に加速する傾向があると指摘されています」(西山先生。以下同)

こうした状態を単なる老化と判断し、そのままにしておくと、次の段階である要介護状態に進む恐れがあるのだとか。

「仕事以外で社会活動に参加していない人は、退職すると社会とのつながりが切れることが多く、特に心配です。長く続けられる趣味を見つけるなど、毎日を楽しく、いつまでも自分らしい生活をしてほしいですね」