『ちびまる子ちゃん』との不思議な縁

どうして僕がレギュラーになったのかというと、原作者のさくらももこさんが15秒の番宣を聞いて、気に入ってくれたそうだ。

『第三の人生は、後編へ続く!』(著:キートン山田/潮出版社)

当時、番組をスタートするにあたって、ナレーター選びが難航していたらしい。

「こんな感じの、アナウンサーみたいで、だけど淡々としていて、何かおもしろい、そういうナレーションがほしい」っていう、さくらももこさんのリクエストに応えるためにいろいろオーディションをしたんだけど、イメージに合う人がいなかったり、ようやく決まりかけた人のスケジュールが合わなかったりして、困っていたようだった。

そんなとき、さくらももこさんの元にあの番宣の録音テープが届き、僕の声を聞いて「これ! この声! このしゃべり方!」って、小躍りして喜んでくれて、それでナレーターは僕に決まったそうだ。

実は、まる子の収録はスタート時からずっと金曜日の午後3時って決まっていて、声優とナレーターがスタジオで一緒に収録するスタイルなの。だから、そこにスケジュールが合わなければ、レギュラーを務めることは無理なんだよね。

ところが、不思議なことに、ちょうどこの直前、僕は数年間続いていたNHK教育テレビ(現在のEテレ)のレギュラー番組『理科教室 小学校一年生~なんなんなあに~』に登場する”どんとのおじさん”役(1985年から出演)が終了して、金曜日のスケジュールが丸々空いていたんだ。

番宣の段階では、まだ収録が金曜日ってことは知らなかったから、「あ、もしも“どんとのおじさん”が続いていたら、このナレーションは僕じゃなくて違う人がやってるんだ、間違いなく」と、本当に不思議な縁を感じたものだった。