もし誰かと暮らしたら
女優デビューから10年目に、映画『極道のたち』の準主役に大抜擢される。シリーズに欠かせない顔になり、多忙な日々が続いた。
――おひとり様を満喫している私ですが、別に結婚したくなかったわけではないんですよ。でも、よほど大きな家ならいいけれど、誰かが近くにいると、どうも気を使っちゃってダメなんです。
もちろん、友達や仕事仲間と楽しく過ごす時間は大好き。気が合う人や、なんでも話せる人、共感し合える人の存在はありがたいし、素敵な関係です。ただ、私にとっては一緒にご飯を食べたり、旅行をしたりできれば十分で、誰かと24時間ずっと暮らす必要を感じなかった。ましてや結婚という考えもなくて。どうしても子どもがほしければ、産める年齢の頃に別の選択もあったかもしれないけれど、私はそうしませんでした。
若い頃は、仕事が9割という感じでしたね。映画などで長くひとつの役柄を演じていると、役に染められて自分自身が変わってきちゃうんです。たとえば、「極妻」を演じているときはこわい人になるし、日の当たらない人生を歩んできたような役のときは、自分が役に負けて潰れそうになることも。
自宅に帰っても役が抜けず、日常の人間関係も危うい感じになって。切り替えるようにはしていたけれど、これがなかなか難しく、もしも誰かと暮らしていたら、きっと大変な迷惑をかけていたと思います。
思えば、ひとり時間の楽しみ方を子どもの頃から知っていたことも大きいのかな。ようは自由に暮らしすぎちゃったのかもしれませんね。(笑)