概念の力

第三者に移転可能な活動は、労働です。となると、家事の大半は労働になります。しかも市場の外にあって対価が支払われない労働です。

その後、国連は家庭のなかで行われている不払い労働を貨幣評価して計上するよう各国に要請しました。その結果、日本でも政府の統計が変わりました。

現在、政府の労働時間統計で使われている用語は、「無償労働」「無収入労働」「無報酬労働」というものです。

原語は同じunpaid workです。この英語の直訳は「不払い労働」以外にありません。わたしは断固として「不払い労働」という用語を使います。なぜなら、「無収入労働」とか「無報酬労働」と呼ぶより、「不払い労働」と呼ぶほうがムカつくからです(笑)。

つまり、こんなことがあっていいわけがないという不当感と怒りが湧くからですね。概念にはこういう力があります。

「unpaid work」という英語の直訳は「不払い労働」以外に考えられないという上野さん(写真提供:写真AC)