パソコン、スマホ、花粉症…現代の生活環境は、目にとってたいへん過酷な状況にあります(写真提供:photo AC)
人の寿命は100年近くまで延びましたが、目の寿命は60~70年といわれています。不調に対処しながら、なるべく最後まで自分の目で物を見続けるには、正しい知識とケア法を身につけることが大切です(構成=浦上泰栄 イラスト=スギザキメグミ)

私たちの目は過酷な環境に置かれている

人間は「情報の約9割を目から得ている」といわれます。しかし目の寿命は短いため、たとえ平均寿命が延びても、老化によって視力を失う、視野の一部が欠けるなど、目の健康が損なわれることも少なくありません。

たとえば車を安全に走らせるには、定期的に点検を行い、修理をし、傷んだ部品は換えることが重要ですよね。同じように、最後まで自分の目で物を見て、ドラマや映画を楽しんだり、買い物や旅行に出かけたり、さらに日常生活を安全に過ごすためには、定期的に検診を受けて目の健康状態を正しく知っておくことが必要なのです。

現代の生活環境は、目にとってたいへん過酷な状況にあります。テレビやスマホなどの電子機器は目を酷使するだけでなく、そこから放出されるブルーライトによって、網膜のもっとも重要な部分であるにダメージを与えるのです。

とくにコロナ禍のいま、「家時間」が増え以前よりテレビやスマホを見る時間が長くなった、という人は多いのではないでしょうか。目を酷使し続ければ眼精疲労が起こり、さらにこちらの記事で解説するような、さまざまなトラブルや眼病を引き起こすきっかけにもなります。

実は、気候や住環境も目の健康に大きな影響を与えているのです。年々、花粉症を発症したりアレルギーを抱える人が増えていますが、目をこすったり、目薬を乱用したりすることが、目のトラブルの引き金に。

老化の原因である酸化(細胞がさびる)と、糖化(余分な糖質がたんぱく質と結びついて細胞を劣化させる)も、目に悪影響を及ぼすことがわかってきました。酸化や糖化が進んで毛細血管が劣化すると、十分な栄養が目に行き届かなくなることが原因です。

そのため、酸化の要因になるストレスと上手につき合い、目の健康に有用な栄養素を取り入れた食事を心がけることが重要です。詳しくはこちらの記事で紹介する5つのセルフケアを参考にしてください。

また、次のページのチェックシートで気になる症状がないか確認しましょう。