いまや一億総発信時代。インスタなどのSNSで、多くの人が画像をUPしています。カメラやスマホのカメラの機能も進化し、「上手な」写真は誰もが撮れるようになりました。では、そのなかでプロはどのように「人の心を掴む」写真を撮っているのでしょう?
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。作品を撮影した時の判断や状況を「撮り方」で、作品で伝えたかった思いや撮影する上で必要な信条などを「処方箋」として記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第3回は「モノクロ撮影のテクニック」です
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。作品を撮影した時の判断や状況を「撮り方」で、作品で伝えたかった思いや撮影する上で必要な信条などを「処方箋」として記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第3回は「モノクロ撮影のテクニック」です
モノクロ撮影は光と影を正しく見つめ直すこと
〔 撮り方 〕
吹雪の湖面に立つ木の強さを狙った。余分なものは入れず、木と真っ向勝負。色さえも余分なものとして削ぎ落した。
吹雪のせいで、背後の景色は見えず木の存在感が誇張される。広角レンズでローアングルから狙い木の大きさを出す。絞りはF13に絞り込んだ。深い被写界深度で枝の1本まできっちりと写し込み、また絞り込むことでシャッター速度をスローにして、湖面の波が消えて木の存在がより浮き立つような2つの効果が得られた。
絞りとシャッター速度の設定で、景色はいかようにも変化する。さらに、モノクロモードのときにはWBを白熱灯に設定している。こうすることでシャドー部の黒をより絞めることができるのだ。