相原さんの処方箋
〔 処方箋 〕
モノクロ作品は写真の入り口であり、ゴールでもある。釣り人がヘラブナ釣りに始まりヘラブナ釣りに終わるというのと同じだと思う。モノクロは光と影、トーンがどう存在しているかの見極めがとても大切。色でごまかすことができない世界だ。同時に構図もカラー以上に大切で緻密になってくる。
デジタルは、常時カラー撮影に設定されているから最初は面白い。フィルム撮影よりも自分の写真の進歩が早いと錯覚する。でもその分、壁にぶち当たるのも早い。光と影をどう見るかという基礎ができていないので、壁を乗り越える力と方法がわからなくなるのだ。だから、行き詰ったときにこそモノクロ撮影が良い。被写体を色なしでどうやって存在感を際立たせるのか? カメラポジション、レンズ選択、絞りとシャッター速度の関係、トーンコントロール。
すべての基礎と向き合うべきことが、モノクロには込められていると僕は思う。
※本稿は、『光と影の処方箋』(著;相原正明/玄光社)からの抜粋です
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