『婦人公論』4月号の表紙に登場した寺島しのぶさんと富司純子さん

富司 思い出した。2人が設計士に頼んだのが、総ガラス張りのモデルルームのような家だったのよ。外からはもちろん丸見え。しかもそこにツタを這わすって言うじゃない。メンテナンスはどうするのって、卒倒しそうだった。その時は、ありえないと率直に意見を伝えました。

寺島 私たちは良いと思ってやっているわけだから、意見が一切交わることなく平行線(笑)。その後いろいろあって、マンションに住むことになったけど。

夫のローランさんから誕生日に贈られたアートピースを手に微笑む寺島さん(寺島さんHPより)

富司 昔から自分の信念を貫き通す子だから、最終的にはいつも私が引くのよね。それに結局、今の家にもカーテンをつけていないでしょう(笑)。それぞれ価値観が違うのだし、親子とはいえ、人の生活にとやかく口を出すものではないわね。

寺島 でも50歳が近づいて、母さんに性格やちょっとしたしぐさが似てきたと感じる。一つ不思議なことがあって。母さんは48歳から2年間くらい具合が悪かったでしょう。私も同じで。更年期に差しかかったこともあり、去年はずっと寝込んでた。といっても、相談はしなかったね。いつものことだけど。

富司 相談されれば一緒に考えますよ。

寺島 いや、「忍」という名前を与えられた時から、耐え忍ばなくてはいけない運命だと思っているから(笑)。実際、意外と耐えられるものだなと思って感謝してる。

富司 もちろんあなたの名前にはそういう意味もあるけれど、本当は、わが子のために自分が耐え忍んでいこうという思いが込められているんですよ。(笑)