富司純子さん(左)と娘の寺島しのぶさん(右)(撮影:浅井佳代子)
現在発売中の『婦人公論』2022年4月号の表紙は、歌舞伎役者・七代目尾上菊五郎さんを夫に持つ富司純子さんと、その娘で、伝統を受け継ぐ家庭に育った寺島しのぶさん。寺島さんの弟は、朝ドラ「カムカム」で時代劇スター・桃山剣之介(モモケン)を演じる尾上菊之助さんという芸能一家。互いに女優としても活躍する二人ですが、驚くほど性格が違うのだとか。衝突が多かった若い頃に比べ、今は尊敬する部分があるようで──。本誌から、特別に記事を先行公開いたします。(撮影=浅井佳代子 構成=丸山あかね)

<前編よりつづく

親子げんかは平行線をたどって

寺島 親子でこれだけ性格が違うと、意見が交わらないという問題は出てくる。大げんかは私が覚えている限りで2回かな。一度は私が28歳の時。女優になることに関しては何も言わなかった母さんが、『赤目四十八瀧心中未遂』という映画に出演すると決めた時に猛反対して。

富司 最終的には素晴らしい映画になったと思うけれど、原作を読んだ時点では受け入れられなかったの。大事な娘が背中一面に入れ墨を入れて、濃厚なラブシーンを演じるというのだもの。

寺島 母さんは、「やるなら私は自殺するから」って。私は私で、「やれないなら自殺するから」と言い張って大バトル。最後は、父さんの「女優なんだからしょうがねぇよ」という一言で納得してくれたんだっけ?

富司 そうだったわね。もう一つの大げんかって何だったかしら?

寺島 私がローランと建てようとしていた家のこと。