筋肉が見えるVS見えない対決
ところで、若隆景を見ていると、子どもの頃に見た昭和30年代の力士たちを思い出す。押している時、組んでいる時、腕や背中の筋肉が見え、力の入り方が分かるのだ。
代表的なのが「マムシ」と呼ばれた第44代横綱・栃錦と「土俵の鬼」と言われた第45代横綱・若乃花(初代)の取組だ。四つに組むとお互いに引きつけているのがわかり、見ている方もグググッと力が入ってきた。
最近の力士は大型化して背中に肉がついているから、四つに組んで動きが止まった時に休んでいるように見えてしまい、「まだ勝負はつかないな。そうだ、みたらし団子が残っていた」と台所に取りに行っている間に勝負がついてしまったりするので、相撲のテレビ観戦も読みの浅さが問われる。
さて、千秋楽はなぜか、筋肉が見えづらい力士と筋肉の動きが見える力士の対戦が組まれている。
まず、筋肉が見えづらい琴ノ若は、筋肉の動きが見える新小結・豊昇龍と対戦する。筋肉が見えづらい高安は、筋肉が見える新関脇・阿炎と対戦。
豊昇龍と阿炎は勝ち越しがかかっているから必死だろう。結びの一番は、若隆景が筋肉の見えづらい正代と戦う。
若隆景か高安のどちらかが負け、すんなり優勝が決まるか?2敗を保ち決定戦になるか?それとも3敗で琴ノ若が加わり巴戦になるか?
結局、カド番を脱出しても正代が気になるのだ。