2022年3月13日、大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)で開幕した大相撲春場所は、いよいよ千秋楽を残すのみとなりました。横綱・照ノ富士は怪我で休場となってしまいましたが、熱戦は続いています。1敗を守っていた高安の優勝なるか。正代はカド番を脱出できるのか。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります

前回「荒れまくりの春場所、横綱・照ノ富士休場。全勝でトップを走る元大関・高安、1敗で追う新大関・御嶽海、成長著しい若隆景と琴ノ若」

予想は裏切られた

「荒れる春場所」と言われる大相撲の伝説通り、6日目に横綱・照ノ富士が休場し「荒れる」と感じたが、それが「あれ?」になり、次に「あれれ?」となり、14日目にして「あれ~」とテレビの前で叫ぶはめになった。

1敗を守り単独トップとなった元大関の前頭7枚目・高安が14日目に優勝を決める!
そして三賞獲得力士だけが気になる静かな千秋楽を迎える、という予想は見事に裏切られた。高安は、カド番まであと1勝という大関・正代を土俵際まで追い詰めながら、正代のすくい投げをくってしまったのだ。

千秋楽に2敗で臨むのは高安と新関脇・若隆景の2人、3敗は前頭6枚目・琴ノ若ただ一人。優勝が期待された新大関・御嶽海は14日目に琴ノ若に押し出され、優勝争奪戦からも押し出された。

14日目のNHKテレビの幕内正面解説者は二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)。高安の兄弟子である。現役時代、高安に稽古をつけ、親方になっても、独立して部屋を持つまで稽古をつけてきた。長年、苦楽を共にしてきた強い絆があるのだ。

高安が優勝をしたら、二所ノ関親方はいつも以上にハイトーンの声になり、歓喜の涙をぬぐいながら解説するか、もしくは号泣して解説不可能になると予想した。隣にいる実況の佐藤洋之アナウンサーが、親方のその姿をどう感動的に伝えるのか楽しみにしていたのだ。

千秋楽のエディオンアリーナ