『エリザベート』は格別に組の団結力が必要な作品
そして、二度目の『エリザベート』。
国と共にエリザベートに《運命の日》が訪れる―。
二度目の役は、シシィ(エリザベートの幼名)のパパでした。
シシィが大きな影響を受けた父親マックス。
自由に生きる父を見て、「パパみたいになりたい」と歌うあの場面に
シシィの本質が現れています。
16歳でオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフに見初められ、名門ハプスブルク家へと嫁いだエリザベート。
父親譲りの自由奔放な少女は、規律を重んじる宮廷内で、自由を求め戦い続けます。
姑である皇太后との対立、夫への失望。
抑圧から逃れ、「私の人生は私だけのもの」と他国で暮らし自由を手にしても、
本当に求めるものはどこか別の所にあるように思われ、彷徨い続けます。
私の一度目の出演のときは、皇帝を倒そうとハンガリーの革命家とともに戦うツェップスという役でした。
ツェップスのときには敵であるエリザベートが憎いと思っていましたが、
マックスのときは、愛する我が娘となりました。
役が違えば これまた見え方が違っておもしろいものです。
それまでもミュージカルを何作品もやってきましたが、
『エリザベート』はまた格別に組の団結力が必要だったように思います。
コーラスにしても、息やタイミング全てにおいて、
合わせる事がとても大切だと教えられました。
この作品をやる前と後で、組のコーラスのクオリティは格段に上がったと思います。
そして組が一つにまとまっていくのを感じました。
組長として、暗いテーマだからこそ、その空気に流されないように、
稽古場などでも雰囲気作りなどに気を付けようと思っていました。
『エリザベート』はそんないろんな想いも重なって、
作品と共に忘れられない思い出がたくさんあります。