(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、今年で107年の歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第18回は『忘れられない作品エリザベート』のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)

恐ろしい夢

いまでも 夢に見る。

公演が始まっていてもうじきパレード。
終盤になって気付く。
え! 挨拶考えてない!

という夢・・・。
そりゃ恐ろしい夢です。

組長の仕事の一つに、舞台の初日や千秋楽のご挨拶があります。
話すことが苦手な私が、2,500人の劇場のお客様の前でご挨拶をすることになりました。

ご挨拶は台詞とはまた違って、とにかく緊張します。
伝えなければならない事のポイントを決め、 
長くなりすぎないように心掛け、 
組を代表してみんなの気持ちを代弁しているのだということを忘れずに、
レポート用紙に書いて、いつもブツブツ唱えながら覚えていました。

初めてご挨拶した時は、とにかく緊張していて、
言い終わってトップさんへバトンタッチする瞬間にスイッチが切れたのを覚えています。

話す事が苦手な人が、よくやっていたなぁといまでも思います。
自分の中の大きなスイッチを押さないととても出来ないから、
自分だけど自分じゃない感覚がいつもありました。