きっと天国でも法話を

それから写経の会にも参加するようになり、寂聴さんのお話を聴くのが私の楽しみだった。寂聴さんは晩年、手術や入退院を繰り返していたものの、仕事をまっとうされ、ここまで長生きされた。代々スタッフの方々が全身全霊で尽くされたからだとも思う。

2020年1月、寂聴さんがお見えになった最後の写経の会の日、質疑応答があった。私が「生まれ変わっても再び仏の道に進みたいですか?」と質問すると、「坊主はもういいよ~」と笑いながら手を振った姿が印象的だった。

寂聴さんは優しいからきっと天国でも、家族と別れてきた方に対して、「死なない人なんていないのだから、もうじき会えますよ。愛する人のそばで見守ってあげましょうね」と、法話を続けていらっしゃるような気がしている。

これからの日本で、寂聴さんのような大衆を引きつける魅力のある方はもう現れないだろう。寂聴さんからの愛あるメッセージの数々を心の支えとして、これからも生きていこうと思う。

寂聴さん、もう一度お会いしたかったです。本当にいろいろとありがとうございました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。


※婦人公論では「読者のひろば」への投稿を随時募集しています。

アンケート・投稿欄へ

【関連記事】
【追悼・瀬戸内寂聴さん】瀬尾まなほ「秘書として10年、その姿を近くで見ることができたのはつくづく光栄なこと。最後にかわした会話では『ありがとう』と」
冨士眞奈美×吉行和子「転倒予防に、滑り止め付きソックスを愛用。スマホの歩数計に褒められながらデパート歩きを」
冨士眞奈美×吉行和子「フィギュアスケートをまねて跳び、足首を複雑骨折。買ったワインを持ちあげて圧迫骨折も」