見知らぬおっさんに度数を売ってもらった競馬場駅(写真:『世界の中心で馬に賭ける-海外競馬放浪記』より)

負け続けて30年、みたいなおっさんに声をかけられて

一度目は、まだカジノの計画もなかった時代。行きは知り合いに車で送ってもらい、帰りは地下鉄に乗ろうとした。

ところが乗り場には「メトロカード(プリペイドカード)専用」の文字が。行きは地下鉄に乗っておらず、メトロカードは持っていない。入り口は鉄製の上から下までがっちり塞がれたやつで、突破などもできない。

そんなシステムならメトロカードの自販機くらいありそうなものだが、表示には「メトロカードは競馬場のインフォメーションで販売しています。最終レースまで」と。……最終レースが終わったから帰ろうとしてるとこなんですけど。

立ち尽くしていると、競馬で負け続けて30年、みたいなおっさんが「度数売ってやるよ」と声をかけてきた。

当時まだ地下鉄が1ドル50セントだったかと思うが、ちょい乗せの2ドル要求されて払った。背に腹は代えられん。

自分のカードをピッとスキャンしてくれたおっさんは、コスト50セントの救世主であった。それ以来競馬場からの上り線には乗っていないのだが、カジノからの陸橋もできていたし、メトロカード自販機も設置されただろうか。