最終的に、3711人の乗客乗員のうちおよそ2割が新型コロナに感染したダイヤモンド・プリンセス号。感染拡大当初に起きていたこととは(写真:PhotoAC)
豪華客船、ダイヤモンド・プリンセス号は2020年1月、横浜を出港しました。香港や台湾などを経由し、2月4日に再び横浜に戻る予定だったものの、その直前、香港で下船した中国人乗客が新型コロナウイルスに感染していたことが判明。4000人近い乗客乗員を乗せたまま、横浜港に停泊して約1か月にわたる検疫を余儀なくされました。『命のクルーズ』から、感染拡大当初の混乱した状況を振り返ります。

乗客乗員の2割が感染

中国・武漢に端を発し、地球をのみ込んだ新型コロナウイルスのパンデミックは、21世紀を生きる世界の人びとを翻弄し、その生活を一変させた。

日本でも、特定の場所で感染者が多発する「クラスター」が数えきれないほど確認されてきたが、事実上、国内最大のクラスターは、船という特殊な空間で発生した。

英国船籍の大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」である。

乗客乗員3711人を乗せたダイヤモンド・プリンセスは2020年2月3日、ツアーの終着点である横浜港に入港した。

香港で最初に乗客の感染が確認されたのは2月1日、全員が下船して一応の終息をみる3月1日まで、大規模な検疫の対象となり、4週間をかけた大がかりな水際作戦が行われた。

乗客乗員の大多数にPCR検査をした結果、その2割にあたる712人の感染が判明している。