1月31日に送られた支援要請メール

小早川は、ふだんはDMAT事務局の福島復興支援室に常駐している。出張先の福岡からいったん福島県内の自宅に戻り、すぐに立川の事務局に急いだ。

『命のクルーズ』(著:高梨ゆき子/講談社)

慌てて始めたのは、活動指針の作成である。通常はつくらないが、今回はいつもと違う活動になる。感染防止の対策に一定のルールが必要だった。

そこには、帰国者と接するとき、使い捨ての医療用ガウン、手袋、キャップ、マスク、ゴーグルを着けて一通り防護した状態で対応する方針を書き込んだ。

新型コロナウイルスは、接触のほか、せきやくしゃみによる飛沫で感染するといわれていた。マスクや手袋など一通りの標準予防策をとったうえで活動していれば、たとえ感染した人と接したとしても濃厚接触者とはみなされない。

そのためDMAT隊員が支援活動を終え、職場の病院に戻ったあとも、隔離期間をもうけずにすぐ仕事に復帰できるはずだ。活動指針は、それをふまえたものになった。

事務局は31日、DMAT隊員のなかでも指導的な立場であるインストラクターの資格を持つ隊員向けのメーリングリストに情報を発信し、武漢からの帰国者支援へ参加するチームを募った。