アフリカを知ってもらうための絵本

中村 だから『ハートのレオナ』なんですね。

MISIA 実はこの子にはモデルがいます。身内の女の子がレオナちゃんといって、1歳3ヵ月で亡くなってしまったんです。生まれた時から、ずっと病院で生活をしていて、私も会いに行ったりしていたんですが、レオナちゃんを通じて私自身も生きるということを考えさせられました。

「強い子に育つように」とライオンのレオから名前をつけられたレオナちゃんは、病院で額にガーゼシールを貼っていて、それがハートの形。彼女のお姉ちゃんが「ハートのレオナちゃん」って呼んでいて、そこから思いつきました。

レオナちゃんに、私が見せたいアフリカ。教えたいこととか、見せたい景色とかがたくさん浮かんできて。当初は行ったことがない国も書いたりしていたんですけど、うまく伝えられないし、やっぱり自分が見せたかったものだけ書こうと。そうしたら伝えたいことがいっぱいありすぎて、一時は4万字くらいに膨らんじゃいました。(笑)

中村 ぜひ絵本を読んでみたいですね。アフリカっていうと野生動物のイメージがありますけど。

MISIA アフリカは魅力的な場所で、サバンナにあるホテルに泊まると、ガオーッてライオンの声が聞こえる。ケニアの高台にあるホテルでご飯を食べていたら、誰かに手をギュッと握られて、パッと見たらそこにマントヒヒ。ギャーッて(笑)。空港に携帯を忘れて取りに行こうと表に出たら、フェンス越しにキリンが首を出していましたし。とにかく自然の中に街ができている。

中村 MISIAさんの根底には平和への想いや社会貢献、人類愛がある。それは、なぜなんでしょうか。

MISIA そうですね、私自身が特に自覚しているわけではないですけど、私の両親がともに医師ということも関係があるかもしれません。幼い頃に過ごした対馬では、地域医療を志す両親を見て育ちました。急患があれば、食事中でも駆けつけていたものです。小さい頃から、かけがえのない命の大切さを教えてもらった気がします。

中村 なるほど、そうだったんですね。MISIAさんのお話を聞いていたら、無性にアフリカへ行きたくなりました。

MISIA その時は、マントヒヒと手を繋いでくださいね。(笑)