勝利から一夜明けて

決勝戦から一夜明けて、8月8日。五輪金メダリストとなった選手24人と共に、東京都内で記者会見に臨みました。野球日本代表としての最後のイベントです。

会見では改めて選手に感謝を伝え、私は「若い選手が声を出して盛り上げてくれるという、本当にいいチームが出来上がったと思っております。また坂本であったり、田中であったり、菊池であったり、柳田もそうですけれど、ベテランと言われる選手たちが非常にまとまってくれて、若い選手とベテランの融合チーム、最高のチームが作れたと思います」と振り返りました。

意外に知られていないのですが、実はメダルをもらえるのは選手だけで、監督やコーチ陣はメダルをもらえません。前夜の表彰式では、菊池が自分のメダルを私の首にかけてくれました。会見で菊池は「監督やコーチたちにメダルがない。僕のメダルでもいいのであれば、監督にかけてあげたいなという思いでした」と話してくれました。監督冥利につきます。

8月8日の夜には、東京五輪も閉会式を迎えました。ペナントレース再開は13日だったこともあり、田中将大、山崎康晃(「崎」は正しくはたつさき)、鈴木誠也、森下暢仁の4選手が参加していたようです。

私が選手として出場した北京五輪では、開幕直前まで国内で強化試合が組まれていたため、開会式には参加しませんでした。現地で滞在したのは、選手村とは別のホテル。他競技に出場する日本選手の応援に行く機会もなく、宿舎と試合会場を行き来するだけで、閉会式も出なかったので、野球だけの国際大会との違いを感じられませんでした。

自国開催の今回、選手が開会式に出られるといいな、とは思っていましたが……いざ始まると、やはり無理でした。開会式の7月23日は、直前合宿で仙台にいましたので、テレビで日本選手団の入場を見届けました。

それだけに、閉会式で野球のユニホームではなく、各競技の日本代表選手が着るオレンジのジャージ姿で、「チームジャパン」として4選手が卓球の日本代表選手と交流したりする姿を見て、私もうれしくなりました。