はじめて「夫婦」を感じる日々

大助 嫁はんがすごいのは、誰とでもいつのまにかお友達みたいになってるところ。病院の先生も看護師さんも、先生の奥さんとも仲良うなってて、「花ちゃん、頑張ってるね」って応援してくれる。僕の仲間も手紙やメールや電話をくれたり、食べ物を送ってきてくれたり。退院してもみんなとSNSで連絡を取り合うために、四六時中タブレット持ってるしな。だから僕の介護なんて知れてる。

花子 入院するときは皆さんに心配かけたらあかんと思って、ツイッターに「宇宙へ旅立ちます~」って投稿した。退院した日には「宇宙から戻りました」って書いて再開。そこから毎日、1分くらいの映像を添えてアップを続けてる。ツイッターの文字数制限の140字ギリギリになるよう、いつも考えて書くし、コメントへの返信も全部違う文面で。

それは私の勉強でもあるのよ。考えて言葉を発する習慣をつけないと、仕事のとき言葉がうまく口から出なくなると思うから。入院中は大助くんも、たびたび「日記書いたらどうや」って言ってたね。

大助 右手のリハビリになるしね。いまは色鉛筆を使ってイラストも描けるようになった。

花子 今年の年賀状は1枚1枚違う寅の絵を描いて。趣味の手芸も、これまで自分で編んできた漫才の衣装をほどいて、お帽子に編み直したり。手先を動かす趣味があったのはよかったな。

大助 僕たちは家にいても外に出ても、弟子やらなにやらで常に周りは人だらけ。稽古はしても、夫婦でゆっくり話をしたこともなかった。

花子 なかったなあ。結婚したときから、ずっとね。

大助 こうしてふたりきりで過ごすようになって、いろんな話をして、はじめて「夫婦だ」ということを感じてます。これまでは僕がほとんどネタをつくって、意見を言って、嫁はんはそれを聞いてきてくれたけど、これからはまず嫁はんを大事にしたい。ゆくゆくはふたりで「お礼漫才」をしていきたいね。

花子 一時はユーチューブで漫才を配信することも考えたけど、大助くんが「せっかくならセンターマイクに戻ろう」と言ってくれたのは嬉しかった。漫才師としては、センターマイクの前に立って漫才をすることが「お礼漫才」。それに向けて、今日を明日を頑張ります。


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