「嫁はんは余命1週間というところからの闘いだった。あれから3年近く頑張ってくれていることを考えると、奇跡に近いな」（大助さん・右）／「病気もやけど、私たち夫婦がこんだけ続いているのも奇跡や（笑）」（花子さん・左）
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2022年4月17日放送の『ザ・ノンフィクション』で妻のがんと夫婦で闘い続ける1400日の様子が放映された宮川大助さん、花子さん。花子さんが腰の痛みを訴え、がんの診断を受けたのは2018年3月のこと。仕事をしながら治療を続けていたものの多発性骨髄腫へと進行し、2019年6月に緊急入院。一時は余命1週間の状態だったという。相方で夫の大助さんもこれまで脳出血や脊柱管狭窄症、感染症等で入退院を繰り返しており、互いを支え合ってきた2人。闘病の日々をキレよく語る。好評発売中の『婦人公論』5月号より特別に記事を公開します（構成＝山田真理）

鎖骨が折れても気づかない

大助　嫁はんは、いまリハビリの段階やな。

花子　大助くんは真面目で、すぐ「リハビリしとるか」ってやいのやいの言ってくるけど、家にはリハビリの先生がいてへんし、設備もないから怖くて。

大助　腰椎の2番と5番ががんでボロボロなところへもってきて、ずっとベッドやから下半身の筋力と腹筋が衰えてる。一番のリハビリがトイレ。

花子　大助くん、「心配やから夜中でも起こしてや」って言ってちゃんと起きてくれるけど、自分がしたいから、先に行かはんねん。しかも男の人やから便座上げてね。

大助　このトシだから、僕は3回、嫁はんは4回くらいトイレに行く。僕、夜中に7回も起きなあかんもんねえ。（笑）

花子　やっとの思いで便座下ろして用を済ませて戻ってきたら、先に寝てはんねん。あんたのトイレのために、私起こしたんやん。（笑）

大助　そう言われても、長年の癖やからなあ（笑）。多発性骨髄腫と一口に言っても、人それぞれに症状は違いますけど、嫁はんは余命1週間というところからの闘いだった。あれから3年近く頑張ってくれていることを考えると、奇跡に近いな。

花子　病気もやけど、私たち夫婦がこんだけ続いているのも奇跡や。（笑）

大助　最初に「おかしいな」と気づいたのは、ウォーキングイベントのときやったな。

花子　もともとフルマラソンを完走できるくらいの体力自慢だったのに、たった12キロのウォーキングの途中でものすごい腰が痛くて歩けなくなって。2週間経っても痛みが引かないから、レントゲン撮ってもらって診断されたのが、形質細胞腫瘍。

大助　腰椎ががんにやられていると聞いて、僕はもう、わーっとなりました。