花子 そのころは舞台を休もうなんて思ってなかったから、仕事をしながらの放射線治療。でも翌年には体中のあちこちが痛くなって、検査を受けたら形質細胞腫瘍の一種の多発性骨髄腫になってた。

大助 一番恐れていた病名やったな。

花子 もう放射線治療では追いつかないから抗がん剤治療を勧められたけど、「副作用で食べ物の味がわからなくなったら」とか「髪が抜けてしまう」とかいろいろ考えてしまってね。

大助 それに抗がん剤治療をするとなったら、仕事を休んで入院せなあかん。それを迷っているのもわかってたから、僕も「はよ決めな」と急かすことができなかった。でも日に日に体調は悪くなる。車椅子に乗るようになり、舞台で立ち続けることも難しい。おしっこが自力でできず、膀胱は常にパンパン。首から下はだらんとしてるから、あるとき車椅子に乗せるのに娘と2人で無理な姿勢をとってしまって。

花子 ぽーんと音がしてな、鎖骨が折れてた(笑)。普通折れたら、七転八倒でしょう。全然痛みを感じないようになってて、「あれ、なんか鳴った?」って。

大助 オムツを脱ぐとき、床ずれが一緒に剥がれて火傷みたいになっても、神経がやられてるから痛がりもしない。