「モノに触れると自分の体が反応する。僕は、ネガティブなことばかり言っているモノはそばに置きたくないし、いい声で歌ってくれる本とか、前向きに語りかけてくれる服と一緒にいたい」(川村さん)

川村 物語を書きながら気づいたのは、モノをキャラクター化して、その声を聞くというのは、実は誰にでもできるということ。近藤さんは、残すモノか、手放すモノかを「触れてみて、ときめくかどうかで選んでください」とアドバイスしますね。

近藤 ときめくか、ときめかないかは、一つひとつ手にとってみると、すぐに答えが出ます。答えは出ているはずなのに、「でも、あのときこうで……もったいないし」と、いろいろ迷ってしまうのは、自分の感覚に素直になっていないから。

川村 モノに触れると自分の体が反応する。僕は、ネガティブなことばかり言っているモノはそばに置きたくないし、いい声で歌ってくれる本とか、前向きに語りかけてくれる服と一緒にいたい。そういう視点で部屋を見渡し、モノの声をイメージし、選別していくと、どんどん楽しくなってくるんです。自分の幸せに直結している作業なんだな、と思いました。

近藤 その感覚が大事です。今、家の中にあるモノは、必ず自分の選択によって招かれたものであって、それを残すかどうかというのも、過去の自分がどこかの時点で必ず決めている。だから、片づけというのは自分の決断の集大成なのです。
家の中のモノを見直していくことで、これまで自分がどういう価値観で生きてきたのかが明確になるし、自分を客観視できるようになる。片づけって、自分の人生を見直すのに、これ以上ない方法だと私は思っています。