片づけで夫婦関係が改善!?

川村 『おしゃべりな部屋』は、7つの部屋の片づけの物語で、登場するのは夫婦や親子。つまり、一緒に住んでいる人、家族の話でもあるんです。人に紐づいてモノがあるわけで……。片づけは、家族の関係そのものなんだなと気づきました。

近藤 実際に、片づけをするうちに夫婦関係が変わっていくさまを、私はたくさん見てきました。離婚して、新しい人生を歩み始めた方もいらっしゃいます。逆に、離婚届まで書いていた妻が、「まず、自分と向き合うんだ」と決意し、自らをときめかせる新しい趣味を始めて、そこからご夫婦の関係もよくなっていったというケースもあります。夫婦仲がよくなったというパターンは多いんですよ。

川村 これを残す、手放すという片づけの作業により、今の自分に必要なモノ、大事なモノを知るわけですが、これは人間関係にも応用できますね。
7つの物語はいずれも、片づけを終えた人のその後の人生を想像させるようなエンディングになっています。それは、「これからどういう人と会う?」「どんな人との関係性を大事にして、どういうふうに生きる?」ということにもつながる。
コロナでステイホームが続くなか、「部屋の中で完結する物語」というのがこの小説のコンセプトでしたが、実は、外の世界にも広がっていく物語でもあるんですね。

近藤 片づけによって、自分の本当にありたい姿がクリアになれば、そこを新たなスタートとして、人生も変わります。

川村 僕もこの物語を、《幸福論》として書いたつもりです。

近藤 片づけで最も重要なポイントは一つ。「実行する」――それだけです。そして、片づけをすると人生はときめく。私が保証します。(笑)