筆者の関容子さん(右)と(撮影:岡本隆史)

何かのときにふっと蘇ってくる

真打ちになって、末廣亭で昼席のトリを取ったとき、三人前に、かの有名な東京やなぎ句会の宗匠、(入船亭)扇橋師匠が出ていらして、残って僕を聞いてくださったんですね。

そしたら三日後くらいに手紙が届いて、「このままの芸風でいてくださいね」って。僕のためにわざわざ手紙を書いてくださった。この言葉が何かのときにふっと蘇ってくるんですよね。

志ん朝師匠はね、あるときうちの師匠が、「小朝が他のことばかりやってて落語しないで困るんだよ」と言ったら、「いいんだよ、俺と同じでね、他のことやればやるほど落語に戻ってくるやつだから」と言ってくれた。この言葉は結構僕の呪縛になってます。

また、晩年の先代小さん師匠には、「お前が思った通りにやればいい。ただ、間違ったなと思ったら引き返すことを恥だと思うな」って。