市販の風邪薬がドーピングになる

サプリメントや健康飲料、漢方薬など、体に良いという情報を目にすると、子どものために買ってあげたくなる保護者の方がいるかもしれません。親元を離れて、寮生活を送っていたりすると、差し入れとして送ってあげたくなる気持ちもわかります。しかし、これについてはかなり注意が必要です。

2022年北京冬季五輪で話題になっていたドーピング問題。遠くの世界で起きていることのように感じていた人もいるかもしれませんが、 他人事ではないのです。中学生、高校生の年代でも国際大会となればドーピング検査はありますし、国内の大会でも国民体育大会などではドーピング検査が導入されています。

「ドーピングに引っかかるようなものは摂らせていないから大丈夫」と思う方が多そうですが、本当にそうでしょうか。たとえば、市販の風邪薬や咳止め、鼻炎薬、胃腸薬には禁止物質が含まれているものが多々あります。意外に思われるかもしれませんが、目薬、うがい薬、のど飴、育毛剤にも禁止物質が含まれていたりします。

漢方薬も同様です。たとえば風邪のひきはじめに飲まれることがある葛根湯にも、禁止物質が含まれています。

プロテインを含むサプリメントや、栄養ドリンクも油断できません。サプリメントや栄養ドリンクは、栄養補助食品と言われることからもイメージできる通り、医薬品ではなく、食品に分類されます。食品には、すべての原材料や成分を記載する義務がありません。禁止物質を知らぬ間に摂っていたということが起こり得るのです。

そのためアスリートたちは体の中に入れるものにとても気を遣っていますし、周囲のスタッフも迂闊に市販薬やサプリメントを渡すことはありません。

スポーツを続けていくのならば、保護者の方も選手本人も禁止物質について知っておくべきでしょう。アンチ・ドーピングについて気になる方はJADA(日本アンチ・ドーピング機構)のホームページをチェックしてみてください。